Colors of Heart ~7色のハート~


大学時代にバックパッカーに目覚めた大輔は長期の休みになると、1人でふらりと旅行に出かける。


それこそ、リュック1つを背負って。


アジア諸国がお気に入りらしく、旅行から帰って来るとどっさりとお土産を買ってくる。


中でも嵌っているのがお香で、毎日、寝る前に焚くのが日課になっていた。

 
そういえば、前にアメジストが入った凝ったデザインのピアスを貰ったことがあった。


雫型の透かしたゴールドのモチーフの下に丸いアメジストが並んでいる。


上品に見えてかわいい、だけどエスニック。


会社では男受けのいい女の子っぽいぶりぶりした服装をしていた私には似合わないって周りから言われてたけど、実はアジアン雑貨が好きで、部屋の家具も統一していた私は大輔の選んでくれたピアスがぴたりと趣味に嵌った。


センス合うかもとその時思ったのを覚えている。

 
線香のような形のお香に火を点けると、ラベンダーの香りが部屋に広がった。


匂いを嗅いで、満足そうな大輔が再びソファに座る。

 
ニュース番組を見始めた大輔の胸に抱きつく。


作戦続行中。

 
「ねぇ~、大輔~」

 
甘えた声を出してみる。


視線をテレビの画面に向けたまま、「奈々」と大輔が名前を呼んだ。


ついに来た?ん?と目を輝かせて、大輔を見上げる。


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