Colors of Heart ~7色のハート~


そんな花を羨ましく思うこともあるけれど、その花が義男に秘密を持っているとは夢にも思わないだろう。


それは花との約束だから、黙っておくけど。

 
「はい、夏季限定デザート。おまたせ~」

 
オーナー夫妻の奥さん、カヲルさんがかき氷を私たちの目の前に置いた。

 
ブルーベリーとラズべリーのソースと果実が乗ったベリーシロップのかき氷。


涼しげなガラスの器に盛られていて、見てるだけで清涼感を感じる。

 
「うわ~、おいしそう~」

 
義男のは、フローズンストロベリーとコンデンスミルクがたっぷりかかったいちごみるくのかき氷だ。

 
「そういえば、今日は花は休みなんですか?」

 
「花ちゃんはお盆の間は実家に帰ってるのよ。うちも明日からお盆休みに入るから、来てくれたのが今日でよかったわ」


いつもバイトとして、ちょこちょこ動いている花の姿が見えないと思ったら、そういうワケだったのか。


「じゃあ、ごゆっくり~」と笑顔で店内に戻るカヲルさんに手を振って、冷たいデザートを頬張る。


 

「で、さっきの話に戻るけど、奈々は鳩羽くんと寝ないと愛されてる実感がないの?」

 
かき氷を口に運びながら唐突に、義男が訊いてきた。


そういうワケじゃない。

 
「何か最近、大輔の私に対する態度が前と違うっていうか・・・子供扱いされてる気がするんだよね」


スーパーでお菓子は1個までとか言われたり、甘えて抱きついてもはぐらかされたり、もしかして、付き合って気付いたけど、私に魅力ないとか思ってたりして。


< 35 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop