Colors of Heart ~7色のハート~
「デザートもあるんだ。前に話したことあるでしょ、会社の近くにあった昔ながらの居酒屋」
「あぁ、奈々が通ってたって言ってた。老夫婦の店?」
「そぅ、お店を閉めて、今は長野に移り住んで農業をしてるんだけど、巨峰を送ってくれたんだ」
「へぇ、今でも交流が続いてるって何かいいな」
パンを頬張りながら、大輔は微笑む。
ストレスの多かったOL時代の心のオアシス、会社の近くにあったビル街に埋もれた名店は、アットホームで素朴な料理の味が故郷を思い出させてくれた。
そのオーナーだった老夫婦と今も繋がっているのは嬉しい。
実は、元彼である大輔の上司とはその居酒屋で偶然会って、交際に発展したのだけれど、それは秘密にしておくつもりだ。
近い将来、大輔と老夫婦を訪ねて行けたらなと思っている。
食べ終えた食器の後片付けを引き受けてくれた大輔がソファに移動した。
テーブルの上にワインのボトルとグラスを置き、空になったグラスに新しいワインを注ぐ。
「デザートも巨峰でブドウブドウになっちゃったけど」
冷蔵庫で冷やして置いた巨峰をテーブルの上に置く、大輔は早速一粒摘んで、甘い!と頷いた。
大輔の横に座り、私も巨峰を頬張る。
「サンゴさんが手伝ってくれたとしても、今日の奈々の頑張りには感動したよ」
「何だ、やっぱりバレてたか・・・」