Colors of Heart ~7色のハート~
上目使いで大輔を見るとまあねと笑っていた。
「どうだった富士山は?」
「めちゃくちゃ混んでた。しかも外国人が多かった。・・・さすが世界遺産。仲間の1人が途中で高山病になりかけて大変だった。ご来光の写メ送っただろ?」
うんと頷く。
「ご来光に何か願い事した?」
「うん。まぁ・・・奈々とずっと一緒に入れますようにって・・・」
ワイングラスを片手に私を見つめる大輔の視線は酔っていた。
「ズルイ、酔っ払ってる時だけ甘いこと言うなんて」
「確かに酔っ払ってるけど、勢いだけじゃないよ」
「じゃあ、「奈々、愛してるよ」って私の目を見て言ってみて」
私は大輔に体を向けた。
大輔はグラスをテーブルの上に置き、「ちょっと、待て。何で今更そんなこっぱずかしいことを言わなきゃ
ならないんだ?」と突然シラフに戻る。
「じゃあ、キスしてよ」
「はぁ?」
「大輔はキス嫌なの?極度の潔癖症?・・・私はそろそろ次の段階に進みたいよ!」
自分も酔っているせいか声を張り上げてしまった。大輔の目に動揺が浮かんでいる。
鼻の穴が膨らんで、頬が真っ赤なのはワインのせい?