Colors of Heart ~7色のハート~
「あ~、今日から会社かぁ~、行きたくねぇ~」
寝ぼけているのか、大輔は私に「奈々、ちょっとここに来て」と自分の隣を指差す。
無理矢理起こして、洗面所へと向かわせる。
ふわぁと欠伸をしながら、慌しい朝が始まる。
「ゴメン、私も寝坊したから、朝ごはん作れなかった」
顔を洗い、スーツを着ると大輔は営業部のホープに早変わりした。
さっきまでベッドの中で駄々をこねていた人と同一人物だとは思えない。
「いいよ、会社の近くのカフェに入るから。もともと、昨日はあんなんで朝ごはんの準備できなかったし」
ネクタイを締め、カバンを持つと、玄関に向かう。
私はその後を追いかける。
「じゃ、いってくる」
爽やかな笑みを浮かべ、通勤用の靴を履く。
あの・・・大輔・・・スーツの裾を軽く引っ張り、少し躊躇いながら、
「行って来ますのチュウは?」とお願いする。
きょとんとした表情の後に、すぐ笑顔になり、チュッとかわいらしい音を立てて、キスをくれた。
「大輔!」
寝室の窓を開けて、下を覗き込む。
丁度、下にいた大輔がこちらを見上げた。