Colors of Heart ~7色のハート~


「さっき言うの忘れた。いってらっしゃい」

 
手を振りながらそう言うと、大輔はにっこりと微笑んだ。

 
壁一面に蔓延る琉球朝顔が凛とした朝の空気の中、赤紫色の花をたくさん咲かせている。


朝顔と一緒に大輔の笑顔も咲いた。

 
「いってきます」

 
駅に向かう大輔の後ろ姿が見えなくなるまで見送ると、空を仰いだ。


今日も暑くなりそうだ。

 
窓を閉め、ベッドに脇に座り、部屋を見渡す。


私の大好きな紫とアジアン雑貨を基調にした居心地のいい部屋。


大輔の好きな観葉植物とお香。

 
私と大輔の生活は始まったばかりだ。


これからも些細なことで揉めたり、お互いに傷つけ合ったり、前途は多難かもしれないけれど、障害を乗り越えてお互いがかけがえのない存在になっていければいいなと思う。

 
昨日の私たちとは違う今日の私たち。

 
とりあえず、第一の関門は突破したかな?

 
そのまま仰向けにベッドに倒れる。


寝返りを打つと、大輔の枕に顔を埋めた。


大輔の残り香に包まれながら私は浅い眠りについた。





       「purple heart」 *FIN*

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