Colors of Heart ~7色のハート~
「やぁ、久しぶり」
右手を挙げて、僕の前に立つもっさんの足元に目がいき、えぇ!?と思わず二度見してしまった。
「もっさん、僕、高尾山に行こうって言ったよね?」
「うん、言った」
「ビーサンで行く気?」
「ダメか?」
「いや、ダメじゃないけど・・・」
思わず言葉に詰まる。
「高尾山って山なんだけど」
「知ってら。爺さん婆さんが参拝に行く所だろう?テレビで見たことあら」
そうなんだけど・・・僕はハイキングコースを散策するつもりでスポーツ用品店で、新しいスニーカーまで買ったのに、もっさんの軽装ときたら・・・きっと世界遺産に登録された富士山に興味本位で来てしまう外国人観光客と同じなのだろう。
テレビのインタビューを受けていた彼らも確かビーサンだった。
でも、こののどかな感じがもっさんだなと思わず笑ってしまう。
「もっさん、僕、山道を歩くつもりで準備して来ちゃったよ。まさか、ビーサンで来るとは思わなかったな」
「だって、俺んちの裏の山行く時だって、これで行くぞ。なんとかなるべ?」
なんとかなるさ、ケセラセラの考えに、「僕も初めて行くからどんな所かよく解らないけど」と返して、高尾山に向かうべく、京王線の改札口を目指した。