Colors of Heart ~7色のハート~
一目その子を見た時から感じた違和感に気付く。
小柄なその子は着ている服も靴も一回り以上大きいみたいだ。
ラブリーな格好をしつつも、熱中症対策のため母親に持たされたのか肩から斜めに掛かる水筒にはき○んしゃトー○スが描かれている。
アイスが溶けちゃうわ。
はっと思い出した私は、コンビニの袋からさっき買ったアイスを取り出した。
ソーダ味のアイスキャンディ、久しぶりに食べるその味は子供の頃を思い出させる。
シャリシャリとアイスを齧っていると、視線を感じた。
視界の端でその視線を捕らえると、その子がもの欲しそうに私のアイスを見ていた。
食べたいのかしら?嫌だわ、食べかけをあげるワケにもいかないし・・・そんなに見つめないでよ。
そのまま暫らくその子と見つめ合う。
仕方ない、100円渡してコンビニで好きなの買って来てもらおうとバッグの中からサイフを取り出そうとした所で、
「ごめん、お待たせ~」
と私を発見した竜ちゃんがこちらに向かって走って来た。
「ううん、全然待ってないし」
顔の前で手を合わせて謝る桃井くんに笑顔でそう返すと、ベンチを立った。
その場を離れる時、もう1度その子を見ると、その子もこちらをじっと見つめていた。
目が合ったら、さっと視線を逸らした。