Colors of Heart ~7色のハート~


僕が選んだのはゴッホで彼の作品でも有名なひまわりの絵に決めた。


油絵だと乾くのに時間がかかるので、代わりにアクリル絵の具を使う。


当時、絵の上手さで、クラスの中で僕の右に出るものはいなかったから、その時の僕は少し調子に乗っていた。
 
 
隣の席で、折り紙を広げているもっさんを見て、驚いた。

 
「もっさんの画材って、折り紙?」思わず声を荒げてしまった。

 
「うん、夏休みにさ、山下清展に行って来たんだ。そんで、それがすごくて。何がすごいって清の貼り絵がよ。全国を放浪して、色んな場所をスケッチして、家に帰ると作品を作ってたんだってさ。俺もやってみっかって思って。夏休み中、ずっと嵌ってたんさ」

 
「貼り絵に?」

 
正直、その画家をその時の僕は知らなかった。


もっさんは何を模写するのだろう?ちらりと横目で覗くと、もっさんの机の上にはスーラのポストカードが置いてあった。


点描画を貼り絵で描くつもりなの?ありえないと思った。


もっさんはポストカードを片手に机の上に広げた折り紙を吟味している。


いくつかの色をピックアップすると、びりびりとフリーハンドで裂き始めた。


僕は唖然としたまま成り行きを見守る。


瞬きもせずにじっとボードに向かう。


口がアヒルのように尖っている。


もっさんが集中している時の顔だった。


そのまま、一心不乱にアラビアのりに細かい折り紙の破片をつけては貼り付けを繰り返す。


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