Colors of Heart ~7色のハート~


ただ、面白いと思った物への執着と集中力には目を見張るものがある。


貼り絵に関してはそれが最大限に発揮されていた。

 
僕は出来れば、自分が描いた絵が世間に認められて、それが仕事になればいいなと思っているので、自由なもっさんが素直に羨ましくもあり、天賦の才能に嫉妬したりもした。

 
だから高校卒業後の進路にもっさんが実家の農業を次ぐと言い出した時には驚いた。


担任の先生も仲のいい友達も、僕だってもっさんには才能があるんだから美大目指しなよと説得したけれど、もっさんは頑なに断った。

 
「こんにゃく芋を作って、暇な時に貼り絵ができればそれでいい」

 
堂々と言い切ったもっさんはカッコ良かった。


それでこそもっさんだと感心した。

 
高校卒業後、東京の美大に進んだ僕と、地元に残ったもっさん。


友人関係は今も続いている。

 
 

「そういえばさ、これ」


マ○ーを飲み終えたもっさんはぐちゃりと紙パックを潰し、コンビニの袋に入れて、そのままリュックに仕舞った。


代わりにリュックに突き刺さっていた卒業証書が入っているような筒を取り出す。

 
「会った時から気になってたんだ。何が入ってるの?」

 
フフフと笑いながらもっさんはすぽんと筒のふたを開けた。

 
「カレンダー?」中からつるつるした素材の紙が出てきた。


丸まった紙を開くと_____


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