Colors of Heart ~7色のハート~
ケーブルカーに乗り込むと、もっさんは窓際の位置をキープし、じっと窓の外を眺めていた。
急な傾斜のトンネルを抜けると駅に着く。
少女のように騒ぐおばさんたちの集団の後から外に出た。
ギラギラと頭の上を照らす太陽に目を細め、リュックからキャップと取り出して被った。
幼稚園だか保育所だか鮮やかな帽子を被った子供達の軍団が列になって前方を歩いている。
引率の先生が列を乱さないようにと注意しながら歩いていた。
「遠足かな?」
さりげなく話し掛けると、隣にいるはずのもっさんがいなかった。
あれ?どこに行った?と辺りをきょろきょろ見渡すと、
「お~い、草ちゃん」
前方から声が聞こえてきた。
「草ちゃん、見てみてぃ」
いつの間に、もうあんな所にいる。
休憩用のベンチが並ぶ先に柵が連なっている。
右側には売店があり、お客さんが群がっている。
柵に足をかけ、もっさんが手を振っていた。
ベンチに座って田楽を食べていたお爺さんが呆然ともっさんを眺めている。
相変わらず、遠くまで響くメガホンのような声だ。
僕は小走りで、もっさんのいる柵に駆け寄った。一息ついて、顔を上げる。