Colors of Heart ~7色のハート~


一面深い緑で覆われた森が眼下に広がっていた。


その下には街が見える。


遠くには都心のビルさえ望めた。

 
「すごい」

 
僕は思わず息を飲んだ。


そして、首からぶら下げた一眼レフを構える。


最近、バイト代で買ったものだった。


まだ初心者ではあるけれど、どこへ行くにも持って歩いている。


気に入った場所や風景を撮るのが好きなのだ。

 
「これぞ、都会と自然のコラボレーションだな」

 
もっさんが隣でうんうんと頷いている。


隣の売店でおやきを買って来たらしい。


もぐもぐと頬張っている。


「草ちゃんの分」と差出されたおやきを受け取り、頬張った。


丁度、僕らの後ろに座っていたお爺さんが移動したようなので、僕らはそのベンチに腰掛けた。


 

「・・・草ちゃんは恋でもしたんか?」

 
唐突にもっさんが訊ねてきた。


「ごふっ」と変な音が喉元からして、思わず咳込んでしまった。

 
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