Colors of Heart ~7色のハート~
するりと告げた言葉にもっさんがびくんと反応した。
「・・・そっか・・・失恋したか・・・」
もっさんは僕の隣に来て、腕を組みながら歩く。
そうか、草ちゃんが失恋か・・・とぶつぶつ呟いている。
「シェアハウスに住んでるって話はしたよね?」
「あぁ、オーストラリアに一人旅に行った時、世話になった友達とだろ?」
そうと僕は頷く。
「その友達を仮にAくんとしよう。そのAくんの大学の友達のBくんも一緒に住んでたんだけど、Bくんの妹がこの春、同じ家に引っ越して来たんだ」
「女の子もいるんか?いいなぁ」
素直に羨ましがるもっさんにふっと笑みがこぼれる。
小さいけれど元気いっぱいで、可愛らしい子だなって思ってた。
笑ったり怒ったり、悩んだり泣いたりコロコロと表情の変わる彼女に心を奪われた瞬間はいつだったんだろう?自分でも解らない。
いつでも一生懸命で、ちょっと空振りしちゃう時もあるけれど、それが微笑ましくて、あぁ、僕はこの子のことが好きなんだなぁって改めて思う。
そんな風に誰かを思うなんて初めてのことだった。
彼女の笑顔が見たくて、彼女の幸せを祈ってるのだけれど、僕は気付いてしまった。
彼女の視線の先には僕じゃない他の誰かがいることを。
「その子には他に好きな人がいたんだ。僕なんて到底叶わない、すごく魅力的な人だ」