Colors of Heart ~7色のハート~


さっきおやきを食べたばかりではあるけれど、もっさんの意見に賛同した。


敷地内の茶屋で蕎麦を堪能した後、僕らは展望台から、景色を眺めた。

 
 

「実を言うとさ、俺も失恋したんだ」

 
すり鉢状に広がる青々とした緑の森を見下ろしているもっさんがいきなり告白した。

 
「え?もっさんも失恋したの?」

 
「うん、カノジョに振られた」

 
「え!?カノジョいたの?」

 
彼女がいたことすら知らなかった。


「どうして言ってくれなかったの?水臭いなぁ」と訊ねると、「だって、草ちゃん、旅に出てたじゃんか」と返ってきた。


確かに僕は春の間中、奄美大島や屋久島の辺りを旅してた。


それもそうだなぁ、旅先でそんなこと言われてもびっくりしただろうしなぁとぼんやりと思った。

 
僕が旅に出ている間にもっさんは地元の街コンに参加してたらしい。

 
もっさんが街コンに参加すること自体が驚きだが、申し込んだのはもっさんの友達だったらしい。


「もっさんって女の子に興味がないと思ってたけど」

 
「そんなことねぇよ」


穏やかに微笑む。


その街コンで運命的な出会いをしたらしい。


< 72 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop