Colors of Heart ~7色のハート~
歳も近く、かわいらしい女の子だったともっさんは少し照れながら、教えてくれた。
休日は美術館を巡るのが趣味らしく、そんな所ももっさんは気に入ったみたいだ。
「その後、何度か2人で出かけるようになってさ、気付いたら彼女のことを考えてんのさ。飯食ってる時もこんにゃく芋植えてる時もさ。こりゃ、俺はあの子が好きに違いねぇと思って告白したんだ。駄目もとだったけど、彼女の返事は意外にもOKだったんだ」
その時は嬉しくて、もっさんは彼女とのまだ見ぬ未来を描いたりもしていたみたいだ。
「最初のうちは良かったんだ。けども、付き合っていうちにお互いにズレを感じるようになってさ」
もともとマイペースなもっさんは、1度、貼り絵を始めると作業に没頭しすぎて、時間の感覚がなくなる。
彼女とのデートに遅れることもしばしばだった。
最初のうちは笑って許してくれたけれど、彼女の中で小さなストレスが積み重なっていたみたいだ。
「ある日、いきなりぶちギレたんだ。私と絵とどっちが大事なの?って」
その場だけ体裁を作るようなことが出来ない不器用なもっさんは、真剣に考え込んでしまったみたいだ。
う~んと腕を組んで悩んでいると、「もういい、別れよ」と彼女に言われたらしい。
「悪いのは俺だって、解ってんだけど、あれはショックだったな。何やかんやで、最終的に服ダサイってまで言われたからな」
もっさんはそう言うと情けなく笑った。
「柄にもなく落ち込んじゃってさ。暫らく、貼り絵してないんだ。何か、気持ちが入り込めねぇっていうかさ。わかんねぇけど」
もっさんはぐるりと方向転換し、柵に寄り掛かった。
「そろそろ、下山するか?」と訊かれ、頷いた。