Colors of Heart ~7色のハート~
少し開けた場所に出ると、観光客がちらほらと確認でき、横たわった木の幹に腰掛けて、休憩を取る人も見受けられた。
僕らも木の幹に座り、表土から顔を出して蔓延る木々の根を眺めて、水分を補給した。
失恋からスランプに陥ってしまったもっさんと、失恋したのに彼女への思いが断ち切れない僕。
どちらも情けない。
だけど僕らは共鳴してる。
頭上からがさがさと葉を揺らす風の音が聞こえてきた。
森の中には野生動物も生息しているらしい。
ここまでの道でいくつかの看板を見つけた。
ふぅと息を吐き、隣のもっさんを見る。
口を尖らせ、じっと上を眺めていた。
頭上で揺れる葉と、木々の隙間から見える空。
もっさんの瞳に写る景色は彼の頭の中にどう伝わっているのだろうか?作品を考えて集中している時のくせだった。
ネガティブなことを言ってたのに、ここに来て、もっさんはもうアーティストの勘を取り戻したみたいだ。
「・・・俺はさ、そのまま彼女を好きでいいと思うよ」
集中しているはずのもっさんがいきなり言葉を発したので、少し驚いた。
え?と訊ねると、
「さっきの草ちゃんの話さ。無理に彼女の思いを断ち切ることはない。もし、彼女が好きな人と付き合ったら、略奪しちゃえとか、逆に振られたら、そこに付け込んでとかそういう意味で言ってるんじゃない。草ちゃんはちょっと考え過ぎる所があるからさ」