Colors of Heart ~7色のハート~
もっさんはフフと笑いながら僕の顔を覗き込んだ。
「肩の力を抜いてさ、その子の恋の行方を見てるのもいいんじゃないかって思うんだ。草ちゃんも俺も不器用だからさ、いっぱい失敗して、傷ついて、そしたらやっと一歩前に進めるんじゃねぇかな?その子の恋が成就したなら、俺、ヤケ酒に付き合うし、振られたならその時、また一緒に悩めばいい」
「・・・そうか」
「そうだ。そういうんでいいんだ。俺らは」
もっさんがくしゃりと笑うとふっと肩の力が抜けた。
お互いに笑い合い、さてケーブルカーの駅までもうひとふん張りだと腰を上げる。
途中、足場の悪いところでもっさんは滑って派手に転んだ。
丁度、柵もなく、覗き込むと、熊笹と木々の生えた傾斜がずっと下まで続いていた。
もうちょっと、左にずれていたら・・・もっさんが雪だるまのようにごろんごろんと転げ落ちていく様子を想像して、背筋がぞっとした。
土に塗れたオーバーオールの尻を叩いてむくりと起き上がる。
「いってぇ」と呟いたもっさんは手の平を擦りむいていた。
同時に足の指の親指と人差し指の間のマメが潰れてしまったらしい。
僕はリュックの中から絆創膏を取り出すと、もっさんの足の指の股に貼り、応急処置をした。
さわさわと水の音が聞こえ、弧を描くようにカーブした道を進んでいくと、前方につり橋が見えた。
「お、やっとこさ見えた」
もっさんが嬉しそうに声を上げた。
もっさんの足は限界にきているのか、歩き方がぎこちない。