Colors of Heart ~7色のハート~
「毒ってさっきそこのコンビニで買って来たばかりなんだけど」
何この子?とムッと思いつつも、このご時世なので仕方ないなと諦めた。
「わかった。これは2つとも私が食べるわ」
アイスを再び袋の中に入れようとした所で、その子ががしっと私の手首を掴んだ。
大きな瞳が私を見つめる。
「会ったのは今日で2回目だから、知らない人じゃないから、これは貰ってあげる」
結局、欲しかったんじゃない。
気難しい子ね・・・ふぅとため息を吐きつつ、ではどうぞとアイスを渡す。
今日も金網の向こう側では少年たちが元気に野球をしている。
目の前に広がるニチニチソウの花壇も、鮮やかなピンクの花を楽しませてくれる。
そんな様子を眺めながら、私たちは暫らく無言でアイスを食べていた。
「毎日、ここに来てるの?」
空になったアイスの容器をビニール袋に突っ込むと、私からその子に声をかけた。
ううんとその子はアイスを口にくわえたまま首を振った。
「ここに座って何してるの?」
「野球をしてる男の子を見てる」
「あの中に好きな男の子でもいるの?」
そう訊ねるとその子は眉間に皺を思い切り寄せ、「違うけど」と否定した。