Colors of Heart ~7色のハート~
「知ってるくせに」ぼそりと呟くと、「またケンカするんでしょう?」と間髪いれず俺を責めた。
「オウスケが待ってるから」
その名前を出すのは卑怯だと解っていたけれど、俺は振り返りぼそりと呟いた。
ユズキの頬が赤みを増していく。
「でも・・・」と戸惑うユズキの声を無視して、俺はその場を去った。
黄金色の落ち葉の絨毯を掻き分けながら。
公園を出るとすぐに、オウスケに電話を掛けた。
何度目かのコールの後、本人が出た。
雑踏と、周りを警戒しているのかボソボソと小声で話すオウスケは、今いる場所と行き方を簡単に述べ、15分後に落合おうと約束をして電話を切った。
オウスケの声が柄にもなく緊張していた。
切羽詰っているのかもしれなかった。
とりあえず、ケータイは再びズボンのポケットに仕舞い、指示された場所へと向かう。
土浦キンジ、17歳。
蒲公英(かばこうえい)高校、通称、蒲高(かばこう)に通う3年。
っていってもほとんど学校に行ってないし、登校しても教室に入ることはない。
ましてや授業を受けるなんて論外だ。
俺の住むこの地域の高校はガラが悪いことで有名で、俺の通う蒲高はその中でもトップレベルの悪さだ。