Colors of Heart ~7色のハート~
そんなに嫌な顔をしなくてもいいじゃない。
カキン
ボールがバッドに当たる澄んだ音が聞こえ、放物線を描いて大きく上がったボールがレフトの後ろに落ちた。
少年たちは盛り上がり、「回れ、回れ」と声を上げている。
2ベースヒットになった。
「・・・お兄さん」
食べ終わったアイスのゴミを受け取ると、その子はじっと私を見た。
頭につけたお花と合わせて、今日は全身サーモンピンクでコーディネートしているらしい。
綿生地の細かいストライプの入ったワンピースは涼しそうだった。
足元はク○ックスだったけれど、キ○ィちゃんやらお花やスイーツやら、かわいいピンがたくさんついていた。
「お兄さん?お姉さん?おかまさん?・・・何て呼んだらいいの?」
「え?」
思わず耳を疑ってしまった。
さっきから難しそうな顔をして何を考えているのかと思ったら・・・思わず笑ってしまった。
「だったらサンゴちゃんって呼んでよ」
「え~!?何で?ヤダよぅ」
その子が一気にブサイクになり、嫌そうな顔をした。
そんなに全否定しなくてもいいじゃない。