Colors of Heart ~7色のハート~
ガラの悪い不良が出入りしてりゃ、普通の人は敬遠するし、ここに人が近づかなきゃ、奴らにとっても都合がよかったはずだと。
「ここにあるダンボール全部がそれなのか?」
「いや、それはないと思うけどな。そろそろずらかろうぜ」
オウスケはソファに横たわっている菊間を背負うと、立ち上がった。
「実は、さっきあのゴリラのケータイ使って写メったシャ○の写真と、パソコン内にあった取引きの日時を記したデータをあそこのパソコンから、警察に送ってやった。場所が特定されたらきっとここに来るだろうからな。ま、たちの悪いイタズラと思われたらそれで終わりだけど」
それは警察が決めることだとオウスケはそう言って笑っていた。
いつの間にか辺りは闇で包まれていた。
白い息を吐きながら、街灯が照らす暗い道をオウスケと肩を並べて歩いた。
俺の家の前に人影が立っていて、その人影を見るなりオウスケは足を止めた。
「ユズキ」
暗闇の中でオウスケが彼女の名前を呼ぶと、ユズキははっとしてこちらを振り返った。
「オウスケ」
彼女の瞳に涙が溜まり、ぶわっと泣き出した。
オウスケはふぅと呆れるようにため息を吐くと、
「ちょっと、菊間を頼む」と背負った菊間を俺に預けた。
オウスケはユズキに近寄り、彼女をぎゅっと抱きしめた。