Colors of Heart ~7色のハート~
「バカ!またむちゃなことして・・・どれだけ心配したと思って・・・」
「悪かったって、俺が負けるワケねぇだろ?」
オウスケは胸で泣きじゃくるユズキの頭をぽんぽんと優しく撫でた。
俺はそんな2人の様子を後ろで眺めて、静かにフェードアウトして行った。
ちくりと胸が痛んだけれど、2人はそんな俺の思いなんて知らずに2人の世界に入り込んでいた。
ユズキは同じ学校に通う同級生で、生まれた時から一緒にいる幼馴染みだ。
そして、オウスケの彼女。
よく優等生に限って、悪い男を好きになるていうけれど、ユズキはまさにそのタイプだった。
たぶん、ユズキの方がオウスケに一目ぼれした。
俺が解るくらい、ユズキがオウスケを見つめる視線は恋をしていたのだ。
家が隣同士で、ずっと一緒にいた俺はユズキにとっては、同い年の弟みたいなものなんだろう。
身長もオウスケみたいに高くないし、姉ちゃんみたいに俺のすることなすことに口を出してくる。
心配しているのは解るんだけど、最近は俺を通して、オウスケの方を気に掛けてばかりいる。
悪い男に惚れたくせに、いざ自分の彼氏になるとやっぱりケンカはして欲しくないらしい。
かすり傷でもオウスケが怪我をすると、涙目になるユズキを見ているのが辛かった。
俺はユズキが好きだ。
たぶん物心がついたときからずっとそうで、ユズキはこれからもずっと俺の傍にいるのだと思っていた。
だからユズキがオウスケに恋をして、2人が付き合うことになった時はショックだった。