Colors of Heart ~7色のハート~


威勢のいい声を上げたが、バイクの後ろに乗っていた華奢な男にバットで狙撃され、勢いも虚しく、その場に倒れていた。

 
キャーと女子の悲鳴が上がり、

 
「先生!」と生徒の中からユズキが倒れた体育教師に駆け寄った。

 
「お前が坂下ユズキ?」

 
その華奢な男がバットを肩に掲げ、そう訊ねた。


八の字に下がった眉を擦りながら、にたりと不気味に笑う。


KIDの頭、山吹の登場だ。


ユズキは何も言わなかったけれど、初対面のはずの相手が自分の名前を知っていることに驚きを隠せずにいた。


表情が曇る。

 
それがYESの意味だと確信したらしい。


山吹が後ろに向かって合図をすると、トラックを走り回っていたバイクの集団がユズキに向かって走ってきた。

 
「マジかよ!!」

 
オウスケがイラついた声で叫び、集団に向かって走って行く。

 
あいつら、まさか・・・


はっとした所でもう遅かった。


小柄なユズキはガタイの男にひょいっと抱えられて、バイクに乗せられた。


「待てよ、コラッ!!」


< 96 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop