【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
『私の話……聞いてくれる?』
泣き止んだ有紗がそう発した時には太陽は沈みかけ、空はオレンジに染まっていた。
「…話せば?」
『私、こっちのおばあちゃんの家に引っ越してきたの。パパは……誰だか分からないの』
「………は?」
お父さんが、分からない?
『昔、ママにパパは誰って聞いたの。そしたら、"一日遊んだだけの男だから分かるわけないでしょ"って…"可能性があるやつなんて、山程いる"って……』