【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
有紗は目を離せば、すぐにどこかへ消えてしまいそうになる。
美しくて危なげで儚げで。
しっかりと掴んで、縛り付けてないと、不安で仕方がなくなる。
だけど、そんなことをしたら壊れてしまいそうで。
どうしたら良いのか。どうするのが有紗の為になるのか。
どれだけ必死に考えたってバカな俺の頭では大した答えなんて見つからなくて。
"幼馴染み"として、傍にいる。
そんなことしか思い付かない。
『ねえ、樹くん』
──君が誰かのものになるなんて、考えただけで気が狂いそうになるのに。