【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
"冬になると、いなくなってしまいたくなる"
いつかの彼女の言葉が頭をよぎる。
母親に捨てられた季節だからか?
そうなのか、有紗。
それとも、他に理由があるのか?
俺の知らない何かを有紗。
君は今でも抱えて一人でもがき苦しんでるのか?
靴もきちんと履ききれてないまま、俺は家を飛び出した。
ドアを開けると風が吹いた。
日が沈んだせいだろうけど、さっきより圧倒的に寒い。
有紗、待ってろよ。
今すぐ向かうから──…。