【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
携帯はいくらかけても繋がらない。
電話があったのは二時間前。
心当たりなんて有紗の家か、あの公園ぐらいしかなくて。
幼馴染みのくせに何にも知らないんじゃないのか俺。って情けなくなる。
「どこにいるんだよ、有紗…」
滴る汗を手で拭う。
家を出てから一時間。
家には一旦帰ってきたらしいけど、すぐにどこかへ行ってしまったらしい。
有紗のばあちゃんがそう言っていた。
この辺はもう、探し尽くした。
吐く息は真っ白で、ゆっくりと上にいって、消えていく。
有紗は、消えたりなんかしないよな…?