【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
探す宛を無くした俺は、公園にいた。
座る場所は勿論、ブランコ。
泣いていたけど、
辛そうだったけど、
儚かったけど、
あの日は確かに有紗は隣にいた。
なぁ、有紗。どこにいるんだよ。
たまらず空を見上げる。
星は見えるけど、どれが何座だなんて俺にはさっぱり分からない。
思わずギュッと胸が締め付けられて切なくなったのは、きっと。
今日は新月で月が見えないから。
そんな月を有紗と重ねてしまったから。
こんなところで座ってる場合じゃないのに。
探さなきゃいけないのに。
宛がないのなら、無我夢中に走れば良いのに。
どうしてか俺は、ここから離れられなかった。