【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
そして何故か、
この時期は喧嘩が増える。
理由は些細なことばかりだけど、確実に。
内容なんて、ほとんど覚えてない。
覚えてるとしたら、小5の頃かな?
サンタクロースはいるか、いないか。
有紗はいると言い張って、俺はいないと言い張った。
ほんと呆れるほどバカらしい。
だけど、いつか。
そんな喧嘩も出来なくなるほど有紗は遠くに行ってしまうのだろうか?
手が届かないほど遠く。どれほど叫んでも聞こえないほど遠く。
有紗は誰かのものになってしまうのだろうか?
そんなの、耐えらんねぇよ。
だけど幼馴染みという関係を捨てる覚悟で告白する勇気もない。
俺はただの意気地無し。
そんなのはとっくの昔に気付いてた。