【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
自嘲するような薄笑いを浮かべた俺から血の気が引いたのは
『樹くん……っ!』
なんて有紗の声が聞こえたから。
まるで、すがるような。
まるで……
『───助けて……っ!』
と言うような…って、え?
「助けてって、有紗……?」
助けるって誰から?
有紗は今、どこにいるんだ?
聞かなきゃいけないことは山程あるのに、うまく言葉が出てこない。
頼ってほしい。助けてあげたい。
あの日から変わらずそう思ってたはずなのに、いざそんな場面に直面するとどうしたら良いか分からなくなる。