【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
「───有紗っ!」
静かな町に響く俺の声。
まだ沈みきってない夕日のおかげで、しっかりと見えるブランコに座った寂しげな少女。
ピンクのコートを羽織った、有紗が。
俺の声に力なく顔をあげる。
駆け寄りたい衝動を抑えるのは、この前と同じように綺麗に飾られた有紗。
『……樹くん…』
なんで、そんな声で俺を呼ぶ。
なんで、そんな目で俺を見る。
どうしたら良いかが分からなくなる。