【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
「何で、もっと早く言ってくれなかったんだよ…」
そしたら、少しは何かが変わってたかもしれないのに。
『これ以上、樹くんに心配かけられないと思ったの…っ。でも、本当は何度も何度も言おうと思ったんだよ……?この前だって…』
──違うの、樹くん。
この前の有紗の言葉を思い出す。
あぁ、俺はどれだけバカなんだ。何を勝手に傷付いて、傷付けて。
『この前は、手伝いに行った帰りだったの…だから…』
あんな派手な格好だったわけか。
ほんと全部、俺の勘違いだってわけか。