【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
「捨てられたから…って、それがどうしたって言うんだよ……」
泣きそうになる感情をグッと抑える。
泣いていいのは俺じゃないから。
今、俺が泣いてしまえば有紗は再び泣くことを我慢してしまうから。
「正直、俺は。有紗の母さんが有紗を捨ててくれてありがとうって思ってる」
『……なによ、それ』
ちょっとだけ怒ったような声が返ってきた。
だけど俺は別に気にもとめずに話を続けた。
「俺は有紗の母親には会ったことねーし、正直会いたいとも思えない。そりゃ有紗を傷付けたことは許せないよ。でも、有紗を捨ててくれたおかけで俺は有紗に会えた」