【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
だから、ずっと不安だった。私なんかが貴方の傍にいていいのだろうかって。
樹くんが傍にいる、そこには優しさしかないんじゃないなって。
今、私を抱き締めるこの腕の温もりを信じていいのだろうか、って。
いや、ほんとは分かってる。
樹くんはほんとに私を想ってくれてる。
貴方は誰にでもこんなことが出来るほど器用じゃないことは知ってるから。
私が、弱いだけなの。
また捨てられたらどうしようって。
樹くんに捨てられたら私はもうきっと生きてはいけない。
だったら、最初から。
私のものになんてしなければいいんじゃないか。
そう思ってしまうの。
でも、いくら頭ではそう思っても
「樹くん…樹、くん……」
心が、体が貴方を求めるの。