【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
有紗は俺の隣の空席に座って
『宜しくね』
と言いながら、小学校低学年とは思えないほどの綺麗で、切なげな笑みを浮かべたんだ。
それを見た俺は子供ながらに"守ってあげたい"そう思ったんだ。
「俺は、菊池 樹。樹って呼んで」
『樹……くん、か。仲良くしてね』
もっと、楽に笑えば良いのに。
もっと、楽に笑わせてあげたい。
たったそれだけのことを叶えるのに、俺は一体、何年かかったんだろう。