イチゴモンブラン
1
牧野真知、十七歳と二ヶ月
昨日、失恋しました
「髪、切ろうかな」
昼休み
ご飯のあとの、まったりお菓子タイムの中気づいたら口に出ていた。そんな小さな呟きにミクは驚いたように目を見開く
「えー!なんで?やっと伸びて、巻けるーって喜んでたじゃん」
「うん、まあそうなんだけど…」
確かに、中学の二年生から伸ばしていた栄光だ、髪だ。アイロンも一番いい少しお高いやつを買ってしまった
「で、ちなみにどれくらい?」
「……男の子に見えるくらい?」
「あらら、また随分と思いきったね。それじゃ、ボブ通り越してベリーショートだ」
笑ってポッキーをかじるミク、ミクは肩にかかるくらいの明るい茶髪のキャラメルみたいな可愛い髪をゆるーく巻いている。これが羨ましくて、私も伸ばしていたのに…
「え、髪切るの?」
「ッいった、何すんのよ?!」
痛い、痛い
突然、後ろから乱暴に引っ張られた髪に相手が誰であるかはすぐわかる
「良太!」
「おっす、ポッキー俺にもくれ」
「はいよー、勝手にどうぞ」
「それ、私が買ったやつ…」
小峰良太、ここ十年近くのミクに続く幼馴染み
だ
「…切るわよ、切っちゃだめなわけ?」
「だって、お前ただでさえ悲しいのに髪切ったら男に見えるぞ?」
「!ちっちゃくて悪かったわね、セクハラで訴えるわよ」
「多々良さんに?」
「うっさいわ…!」
そう、多々良さん、多々良圭織さん
四つ上の年上の男の人、バイトの先輩
私が生まれて初めてできた好きな人