イチゴモンブラン

2


「うう、スースーする」

落ち着かないうなじ辺りを押さえて、鏡を何度も見る。やっぱり変だ、絶対変だ

『ほんとにいくの?』
『…拙者、覚悟は決めたでござるよ』
『誰だよ!』

あのあと、ミクの行きつけの美容院で私はバッサリと十何センチと髪を切った。洋服もいつも買うブランドを避けて、ジーンズにポロシャツとシンプルなものにしてみたり。

(遠目から見れば、男に見えるかも…)

「良太の言う通り、胸だってないし」
「Aカップ」
「寧ろAも緩いくら………」
「あはは、それはやばいね」
「た、多々良さん!」

うん、おはよ
なんて笑った多々良さんは今日もかっこいい、かっこよすぎる

「それ、罰ゲーム?」
「に、似合わないですか?」
「うん、少なくとも前の方が可愛かった。…男の子みたいだ」

上から下までマジマジと見ながらそう言われて、少しどころかかなりへこむ

「真知ちゃんさ」
「…はい」
「スッゴい自意識過剰かもしれないけど、その頭も格好も俺のためにやってるとしたら迷惑で当て付けでしかないからね」
「え……」
「じゃ、お仕事頑張って」

ヒラヒラと手を振りながら、バックルームに戻っていった多々良さん

「当て付け…」

よかった、この時間帯で
気づいたら涙が出てて、私はその場に座り込んで泣いてしまった。

私は馬鹿だ、こんなことしたところで結局私は女で、男になれるはずないのに…


私の好きな多々良さんは、同性愛者だった
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