イチゴモンブラン
きっかけ
どこの誰、あの人が
友達や周りの子に彼氏や彼女ができて、羨ましくないなんて言ったら嘘だけど
自分には、好きな人が一度も出来なかった
「あ、あのここでバイトすることになった真知です。よ…よろしくお願いします!」
カチカチ、むしろガチガチ?
喋る度に唇が震えて口の中はカラカラだ
「…あー、ごめん。名前なに?聞こえなかった」
「!ま、真知です」
盛大に声が裏返って、どこかで小さな笑いが聞こえる。恥ずかしい
自分はとあるビデオ屋にバイトの面接に来ていた。人生初のバイト、知らない大人に囲まれた空間、そして
(なんで、なんで良太いないのよ!!)
元々良太の紹介で来たと言うのに
ここにいない幼馴染みを呪ったところでこの現実が変わるわけではない
(私が人見知りなのあいつ知ってるくせに!)
「君、バイトはじめて?」
「!はい」
「凄い緊張してるけど大丈夫?ここ接客だからハキハキしてないと辛いよ?」
「あ…えっと、」
店長の澤村さんにそう聞かれて、言葉選びに詰まっているときだった。彼が、多々良さんが助けてくれたのは
「君、リョウタンの知り合いなんでしょ?」