イチゴモンブラン

1


多々良さんを最初に見たとき、少なくとも好印象ではなかった。
ちょっと長い金髪を後ろに流して、耳にはゴツゴツジャラジャラなピアスの量、顔はカッコいいかもだけどすっごく怖そうな人だ

「リョウ、タン?」
「小峰良太、友達でしょ?」
「あ…」
「え、小峰と知り合いなの?」
「はい、一応」
「真知ちゃんだよね?リョウタンから色々聞いてるよー」

にっこりと言われて顔が引きつる
色々って、何を

「少なくとも悪いこじゃないですよ?リョウタンの友達だし、類は友を呼ぶって言うじゃないですか。店長」
「…ま、それもそうだな」
「え?」
「真知ちゃん、これからよろしくね」

そう、澤村さんに握手を求められて目を丸くする




「あ、あの!」
「ん?」

お礼をいわないと、受かったのはこの人のおかげだ

「色々、ありがとうございます」
「んー、なんのこと?」
「…さっき、貴方のフォローがなかったら私絶対ここで働けませんでした」
「多々良だよ」
「はい?」
「あなた、じゃなくてタタラ」

首に提げていたネームプレートを見せられる、たたら…かおり?

「…多々良さん、ありがとうございます」
「どういたしまして」

お仕事、頑張ってね
そう言って去り際にポンポンと頭を撫でられた瞬間、凄くドキドキしたのを覚えてる。
ほんと、見た目で人を判断してはいけないものだ
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