何より願うは、綺麗な笑顔


「はい」


コーヒーに砂糖とミルクをつけて持って来たので確信する。


「本命出来たのなら、そちらとデートした方がいいんじゃないんですか」


「は?本命って……、ち、違う、そんなんじゃ……!」


「お金ならあげません。貸すさいには書類に一筆と前に言いましたよね」


「っっ、それも違うって!ただ、俺は……ごめん」


しゅんと落ち込むさまは、初めて見る顔だった。


性格は最低でも、顔は最高と言えよう――人間の作りとして、一番に最悪な組み合わせを持つ彼が、何を考えているのか分からなかった。


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