脳内花畑
小春日和
11月。


いつもと変わらない病室。







弱りきった貴方は光のない瞳で私を見つめる。







しわくちゃの手は冷たくて、今すぐ抱きしめて温めてあげたかった。








貴方は相変わらず口をへの字にして小さく呟いた。






「明日は、晴れだな。」





空を見るとまだ灰色の雲が太陽を覆っていた。





「えぇ。しばらく雪ばっかりでしたもんね。」






貴方が私の頬に触れる。





「暖かい日の光はお前に似ている。」






貴方は荒くなる呼吸の中でそう言った。





「今までありがとう。





また、どこかでな。」





そう言って優しく微笑んだ貴方は瞼を閉ざした。


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