Blind Love
12月に入ると、全国大会に向けての練習も厳しくなり、
部活の練習もある私たち現役は、2つのドリル演奏をしなくてはならず、毎回クタクタになり、彼氏がいるとはいえ、練習が億劫になることもしばしば。。
そんなある日、
いつもと変わらず途中からOGバンドの練習に合流した私の目の前には見覚えのある人がいた。
「今日から、よろしくね。」
「智先輩、入団されたのですか?」
「耕汰がうるさいから、俺あいつのアッシー(笑)」
智先輩は、高校時代はサックス奏者。
OGバンドは、管楽器しかないから来季からは、ブラスのどこかに所属するようだけれど、全国大会まで1ヶ月しかない今はピットとカラーガードの補佐をするらしい。
✳︎ピットとは、フロアーの前方で、シロフォン、グロッケン、ティンパニー等の演奏を立奏で行う集団。
私と同じパーカッションなので、パート練習の時間は一緒に練習する。
パーカッションには、智先輩の同級生の内田もいるし、私の高校のOGの先輩である美沙代先輩は、ひょうきんものだから、人見知りな智先輩もたったの2時間半の練習で皆と打ち解けていた。
その日から、練習後は耕汰先輩と2人、智先輩の車に乗せてもらい、耕汰先輩が夜勤の週は、2人っきりになる時もあった。
3人兄弟の長女の私には、頼れるお兄ちゃん。
智先輩は、末っ子長男だから妹の様な存在の私をとても可愛がってくれた。