アロマな君に恋をして
キスが首筋に及ぶと、くすぐったさと背中をぞくりと走る何かに思わず身を捩った。
麦くんは一度私を見て嬉しそうに目を細めると、鎖骨の方へ唇を滑らせながら熱い手をスウェットの中に滑らせる。
「…………っ」
いつもは衣服に隠されてる部分に触れられたからか、小さく身体が震えた。
こういう行為が久しぶりすぎて、徐々に上に上がってくる彼の手を、怖いと思う自分が居た。
どうして……?麦くんのことはちゃんと好きなのに……
自分の気持ちが歯がゆくて、ぎゅっと目を閉じながら麦くんの手の動きを受け入れていた私に、彼が優しく語りかける。
「なずなさん……怖い……?」
「怖くないよ……大丈夫」
「でも……」
きっと私の葛藤に気付いてる麦くんは、困ったような顔をして私を見る。
それを見ていたらなんだか悲しくなってしまって、私の瞳に涙が浮かんだ。
「もう……や」
「なずなさん……?」
「もうやだ……こんな自分。あなたより年上なはずなのに、年上の女の魅力なんて何一つない……
あのね、麦くんが怖いんじゃないの。でも、すべてを見せるのが怖い……嫌われるのが怖い……処女でもないのに、本当に面倒臭い女……だよね……」
話していたら余計に泣けてしまって、両手で自分の顔を覆った。
スウェットの中にいた手がするりと抜かれるのを感じて、麦くんが萎えてしまったんだと思うと、また泣けた。