アロマな君に恋をして
背中の後ろに腕を差し込まれて、ゆっくり身体を起こされた。
そして向かい合った体勢で、麦くんが私を強く抱きすくめる。
「……今日は、ここまでにしましょう」
「……ご、めんなさ……」
「言っときますけど、萎えたわけじゃないですからね?っていうか言わなくても当たってるからわかりますよね」
「当たってる……?」
意味がわからなくて泣き顔のまま彼を見上げると、珍しく顔を赤くした麦くんは私から目を逸らした。
「……気づいてないならいいです。恥ずかしいんで」
そして一つ咳払いをすると、まじめな顔で私に向き直る。
「……俺はね、なずなさん。そりゃ早くなずなさんと一つになれたらうれしいですけど、全然焦ってはいないんです。
片想い期間も長かったし、今はなずなさんと恋人になれたってことだけですごく幸せなんです。
だから、なずなさんがいつか、俺のこともっと好きになって、心から俺を欲しいと思えたら、その時にいっぱい抱き合いましょう?
それがたとえ5年後でも…………いや、5年はきついな。1年後だとしても、俺、待ちますから」
……途中まで。途中まではすごく感動していたのに、5年が一気に1年に縮んだのがおかしくて、私はクスッと笑ってしまった。
「……ありがとう。1年あれば、きっと充分」
「よかったです。でも1年我慢する代わりに……キスはいっぱいしていいですか?」
「うん……いいよ」
答えた瞬間に、麦くんの大きな両手が私の顔を包み込み、彼が私の唇に吸い付いてきた。