アロマな君に恋をして
「うん……そうなの。今のお店の売り上げでよくそんなことが言えるなって、オーナーに怒られちゃった」
「そうなんだ……残念ですね」
「わかっていたことだけどね」
おかしくもないのに、嘘をついた罪悪感をごまかすために私は笑った。
クレソンを残して私もコーヒーを頼み、話を違う方向へ持っていきたくて窓の外の景色に目をやる。
街はクリスマスムードが高まっていて、たくさんの色と活気に溢れていた。
「そうだ、麦くんクリスマスは……」
「あ……俺、確か仕事です」
「そうだよね……私もやっぱり出勤にしてもらおうかな」
「休めるんですか?」
「……24はもともと休みだけど、25も無理矢理休まされるの。麦くんと過ごしなさいって」
でもそうよね。お互い休みが重なるなんて上手くいくわけないじゃない。
運ばれてきたコーヒーにお砂糖とミルクを入れ、私は少しがっかりした自分に糖分を補給する。
「俺も休みたいなぁ。店長彼女いないから仕事できるだろうし、休みにしてもらおうかな」
「……怒られないの?」
「たぶん、怒られます。あの顔もっと恐くして」
「あはは、想像できる」
休みの希望が通るかどうかはわからないけれど、とりあえず麦くんは店長さんに相談してみると言ってくれた。
もし休めなくても夜一緒に過ごすことはできるし、相談してみると言ってくれたことだけでも嬉しい。