アロマな君に恋をして
「彼女がいつまで経ってもきみに重要なことを告げずに、それをなかったことにしようとしているんだ。
だから僕からきみに、伝えておこうと思って」
「重要なこと……?」
いやな予感がした。
なずなさんが最近変なのは、俺に隠し事をしているからだと考えればつじつまが合ってしまうから……
「彼女と、それからあの店の店長が、カフェを作りたいという話は知っているかな?」
「……はい、聞いてます。でも、売り上げが悪いからオーナーにだめって言われたって……」
俺が言うと、徳永さんは一瞬まばたき以外の動きを止め、それからふっと苦笑した。
「……そんな風に言ってたのか。僕はだめだなんて一言も言ってないのに」
「え……?」
「カフェの話は悪くないと思っているよ。ただ、素人の知識で始めたんではそこまで売り上げを見込めない。
だからこの際、ハーブのことも学んだらどうかと彼女に提案した。アロマにもハーブにも精通した店員がいれば、お客様は安心するだろう?」
「そう……ですね」
この人の言うことは間違ってないと思う。
だけどどうして、なずなさんは俺にそのことを教えてくれないんだろう。
なずなさんの好きな仕事をもっと幅広くやれるチャンスなのに、どうして……