アロマな君に恋をして

徳永さんが店から出て行ったあとも、俺は床に座ったままで憮然としていた。

そんな俺に、店長がため息をつきながら近づいてくる。


「……誰だ?あれ」

「……天敵」

「はぁ?」

「それよりごめんなさい、店長だけに謝らせて」

「いや、それはいいけどよ。……優男で売ってるお前があそこまでするなんて、よっぽどのこと言われたんだろ?」


別に優男を売りにしてるわけじゃないけど……俺は小さく頷いた。

言い方はぶっきらぼうでも、そこにちゃんと優しさの感じられる店長は、やっぱりいい人だ。

本当に殴ってしまう前に店長が来てよかった。


「……女絡みか?」

「まぁ、そんなとこです」

「……ったくこれだから色男は。向こうもなんだか俳優みたいな顔した奴だったが、あいつとアロマショップのねーちゃん取り合ってんのか?」


店長の言葉に、俺はただ唇を噛んだ。


取り合ってる……って言い方はしたくない。

ただ、徳永さんが俺たちの仲を邪魔してるだけだ。

俺となずなさんの気持ちさえしっかりしていれば、彼が何をしようと二人の絆は揺らがない。


……そうだ。

なずなさんに会って、ちゃんと話さなきゃ。


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