アロマな君に恋をして
――とはいえ、この間拒まれてからまだ数週間しか経っていない。
なずなさんの心の準備がまだ整っていなければ、潔く……いや、かなり苦しむとは思うけど諦める……しかない。
そんな切実な想いが伝わったのか、俺の服を握りしめて頬を染めるなずなさんは、ほんの少しだけ口を開いて呟いた。
「……優しく、してくれる?」
「……もちろん」
「それなら……」
「いいんですか?」
気持ちが焦って少しかぶせ気味に聞いてしまった俺を、なずなさんはクスリと笑った。
「この間から、それほど時間が経ったわけじゃないけど……でも、自分でもびっくりするくらいあなたを好きな気持ちは加速してるの。
それに、麦くんは私が怖がったらちゃんとやめてくれる人だってわかったから……
今日は、あなたを信じてすべてを委ねてみたい」
――信用されている、というのはとても嬉しい。
だけど今日はもしかしたら、途中で止めることができないかもしれない。
そのことを、なずなさんに伝えない俺は卑怯かな?
せっかくその気になってくれた彼女の熱を、このまま冷ましたくないんだ。
「……こことベッド、どっちがいいですか?」
「え、ど……どっちでも」
「じゃあ移動する時間もったいないんで、ここで」
「え、も、もう!?」
戸惑いの声を上げる彼女に構わず、俺はその体をゆっくりソファに横たえた。
散らばる髪に、真っ赤な頬、瞳には涙の膜が張っていて、そのどれもが俺を欲情させる。
少しかさついた唇は、たくさんのキスで潤してあげよう――
そう思った俺は、ゆっくりと顔を近づけて、なずなさんの唇をふさいだ。