アロマな君に恋をして

俺は自分の着ているものを脱ぎ、さっきの余韻で荒い呼吸をするなずなさんに覆い被さった。


指を絡ませて、汗ばんだ額にキスをして、それから唇も……なずなさんの緊張が解けるよう、優しく啄む。


「――もしも嫌なら、今のうちに俺のことひっぱたいて下さい。今ならまだ……なんとかなりますから」

「大丈夫……いいよ」

「なずなさん……」

「麦く――――」


本当ならゆっくり、大切に、なずなさんの体を知ろうと思ってたけど……

実際に繋がり合ってしまうと、それどころじゃなかった。


か細い声を上げて俺の背中にぎゅっとしがみつくなずなさんに優しくしてあげる余裕なんてなくて。

欲望のままに動いてたら自分の限界が早すぎてむかついた。


もっともっと長く、なずなさんと抱き合ってたいのに……


「ごめん……なずなさん、俺、もう」


……情けない、と思われるかな。

でも、なずなさんが可愛いのが悪いんだ。

次はもっと頑張るから、今回は……ほんと、もう無理。


「むぎ、く……」

「なずなさん……」


俺は男だけど、好きな人とひとつになるのは涙が出るほど嬉しいことだと思った。

でも、泣き顔は見られたくないからわざと上を向いて……

一度鼻をすすったあと、俺は力が抜けたフリをしてなずなさんの胸に顔を埋めた。


その柔らかい感触に身を置きながら、思う。

……俺はこんな風に母親に甘えた記憶がない。

基本的に甘えるのは苦手なのだ。


だって彼女は俺のせいで……


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