アロマな君に恋をして

ばあちゃんに事情を聞いた時、俺はべそをかいていた。

サンタなんかいないって、こんな形で知ることになるなんて、あんまりだと思った。

何より自分のせいで母が無理をしていたのを知って、やりきれない思いで胸がいっぱいだった。


「……俺がゲーム欲しがったから、お母さん死んだの?」

「違うよ、麦。欲しいものを欲しいということは、何にも悪いことじゃない。
ただお母さんは今までずっとずっと頑張ってきて、頑張りすぎて、自分で命をすり減らしてしまっていたんだ」

「でも……」

「麦のせいじゃないよ。……もしかしたらばぁちゃんのせいかもしれない。
いつ電話をしても“元気だから大丈夫”と言ってたあの子の言葉を鵜呑みにして、住んでるところが遠いからってなかなか会いに行ってやらなかった。
あの子があまり人を頼らない性格だと知っていたのに……どうして気づけなかったんだろうね。もう少し早く、あたしが気づいていれば……」


皺だらけのばあちゃんの目元から、きらきらと涙がこぼれたのを覚えている。


母方の祖母であるばあちゃん。

運命というのは不思議なもので、ばあちゃんも母と同じシングルマザーだった。

父方の祖父母は父と同じく身体が弱く、俺の生まれる前に亡くなっていたから会ったことはなかった。


たった二人の家族になってしまった俺たち。

ばあちゃんは住み慣れた秋田から東京に越してきて、それからずっと俺を育ててくれた。

料理、掃除、洗濯……家事の基本は全部ばあちゃんに教わった。

思春期にみんなが通ると言われている反抗期はやってこなかった。


“人に優しく”


ばあちゃんとの生活の中で、俺はこれからの人生、そうして生きようと思うようになっていたから。


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